春に限らず新入社員を迎える機会は年に何度か、あるいは数年に一度か必ずあります。最近では歯科業界も栄養士、保育士など他業種からの転職で歯科に携わる人も増えてきました。歯科衛生士に至っては学校で学んできたことを実践していくことになります。でも机上での学びがそのまま臨床現場に反映はしませんので、と新人教育として伝えておくことがあります。
患者の施術をすることは有資格者のみですが、感染管理については国家資格はありませんので職種に関わらず医院のメンバーとして担う部分です。新しいメンバーが加わった際の感染管理の新人教育について考えてみましょう。
“とりあえず”はやめよう
新入社員は覚えてもらうことが多岐に渡ります。歯科に関わらず、どの業界でも新入社員教育は仕事を覚えることばかりです。仕事を覚えるための優先順位があると思われます。歯科の場合はどうでしょうか。新入社員に向けてよく起こりがちなことに“とりあえず滅菌消毒”が、あります。
いきなりの患者さん対応はできないのはもちろんです。多くの医院が人手を要している慌ただしい臨床現場です。マンパワーとして簡単にできることをお願いしたいという気持ちでしょう。
新入社員側も“自分にできること”を求めています。医院のメンバーとして役に立ちたいという気持ちに溢れているはずです。患者さん対応ではなく、器具の扱いであれば自分にもできると思いやすいです。
確かに感染管理は患者さんと直接接することがないので、新入社員の仕事としてお願いしやすい部分です。だからこそ、“とりあえず滅菌消毒”ではなく、感染管理の基礎知識を持ってもらいましょう。
感染管理の基礎知識とは?
感染管理の基礎知識は器具を洗うことではなく、滅菌することでもありません。どうすることを目的で感染管理が必要だと言うことを知識として持ってもらうことです。それを勤務初日に伝えます。それが何よりも優先です。医療現場で働くのであれば、自分を守ることも必要になります。どうすれば自分を守り、仲間を守り、患者さんを守ることができるのかをしっかりと伝えたうえでの感染管理です。そこを怠ってしまうと何のために器具を処理し、何のためにマスクをし、グローブを装着するのかの目的を見失ってしまいます。

何よりも最優先にする
新入社員に伝えることはたくさんあります。医院の理念の共有も大切です。医院がどのような理念を持って歯科医療に携わっているかを新しいメンバーに伝えることも優先事項になるでしょう。
感染管理はチームで行なっています。新入社員が早くチームの一員になってもらうには感染管理についての取り組みを最優先で伝えることが必要です。器材の処理は診療の合間の雑用ではありません。医療行為です。医療行為だからこそ、新人教育として最優先で感染管理を伝える必要があります。
新入社員を迎える準備をしましょう
新入社員はいきなり現れません。入社日があります。新人教育のスケジュールを立てましょう。新人教育のスケジュールに感染管理の教育スケジュールを入れておきます。最初に理解してもらいたい感染管理の基礎知識に加えて、早くできるようになってほしいことを明確にします。新入社員に求めることは医院によってそれぞれ違うはずです。新人教育のスケジュールを立てることで新入社員も自分に求められていることが明確になりますので、医院にとっても新入社員にとってもメリットは大きいです。


監修
長谷川 雅代
歯科感染管理協会 教育委員長 / 監修責任者
歯科衛生士(33年)
1993年堺歯科衛生士専門学校卒。30年以上の臨床経験を持ち、現在も臨床に立ち続けることで「歯科医院の今」を熟知する。その豊富な知見を強みに、スタッフ教育や院内環境の改善に携わる。DHマネジメント協会に所属し、新人教育や標準予防策に基づく意識改革を提案する専門家として全国で研修を行う。理想論に留まらない、現場を知るからこそ可能な実践的感染管理システムの構築とマニュアル整備に注力している。

